日本家政学会誌
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青年期における性と生意識に関する研究-教員養成大学学生の実態-
大瀧 ミドリ
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1990 年 41 巻 8 号 p. 679-688

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抄録

青年期の学生を対象に性と生意識の実態を調査する.その結果つぎの結果を得る.
1) 女子のほうが男子よりもいのちの支え合いについて意識することが多く, さらにいのちの偶然性について考えることが多く, いのちを心情的に受け入れる傾向が顕著に認められる。しかし, 自己肯定については有意な男女差はみられない.
2) いのちの誕生に関する知的理解の程度には, 有意な男女差は認められない.女性の身体の一部である女性性器の名称に対する解答率が, 男女において低いことから, 性器などの名称に関する言語学習の過程に記憶を抑制するような社会的要因が関与していることが示唆される.
3) 中絶に関しては必ずしも現状認識がされていない傾向がある.男女間には中絶とその状況の受けとめ方に多少の差異が認められる.
4) 性交に対する考え方には明確な男女差があり, 性の二重道徳性を明確に反映している.5) 性交のとらえかたの違いは, 生き方において明らかな違いを呈している.つまり, 開放型のものは自己肯定的で自分の意図を重視するのに対して, 閉鎖型のものは自己否定的で関係性を重視する.

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