日本家政学会誌
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いわし肉のpHと魚肉だんごの加熱凝集性の相関
三橋 富子藤木 すみ田島 真理子妻鹿 絢子荒川 信彦
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1991 年 42 巻 6 号 p. 559-564

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抄録

いわしだんごの鮮度低下にともなうかたさおよび凝集性の低下について, いわしの死後のpH低下との関係において検討した.その結果, 次の点が認められた.
(1) 貯蔵0日のpHが低くなっているいわし肉では, 貯蔵後にかたさおよび凝集性が減少する傾向にあり, pHが高いものは低下しにくい傾向にあった.
(2) pH 調整すり身によるモデル実験においても, pHが58より低いものは貯蔵後にかたさが低下した.凝集性については顕著な変化は認められなかった.
(3) pH 調整すり身からのタンパク質抽出量の貯蔵による変化は, アクトミオシン区タンパク質はpHによる差が大きく, とくにpH6.45のすり身においては貯蔵にともない顕著に抽出量が減少した.水溶性タンパク質の抽出量は, pHの低いものは貯蔵後に減少したが, 高いものは大きな低下は認められなかった.
(4) pH 調整すり身より抽出したタンパク質のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動パターンより, 対照 (蒸留水添加pH5.75)) およびpHを低下させたすり身 (pH5.60) においては貯蔵1日後からミオシン重鎖の分解が認められ, また貯蔵にともない43,000ダルトン成分および34,000ダルトン成分の減少が認められた.pHを上昇させたすり身 (pH6.15, 6.80) はミオシン重鎖の分解は遅く, また43,000ダルトン成分および34,000ダルトン成分の減少は認められなかった.

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