日本家政学会誌
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シンジオタクティックポリビニルアルコール溶液の相分離
松生 勝武末 聡美
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1993 年 44 巻 3 号 p. 209-218

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抄録
ジメチルスルホキシド/水混合溶液中の, シンジオタクティックポリビニルアルコール溶液を, 弾性および準弾性光散乱法によって研究した. 相分離の初期段階において, 散乱強度の対数と時間のプロットは, カーンによるスピノーダル分解の線形の概念に合致して直線を示した.この初期段階でHV偏光状態下でのX型散乱像が観察され, 光軸がロッド軸に対して平行または垂直に配向するロッド状組織の存在が示唆された. さらに, 準弾性光散乱により計測される拡散係数は, 散乱強度の対数と, 時間の直線プロットが得られるタイムスケールの範囲で, 時間と共に減少した. X線散乱像の出現と拡散係数の時間依存性は, ゲル化の進行を示唆している. よって, ポリビニルアルコールの相分離の初期段階では, スピノーダル分解とゲル化が同時に起こっているということが判明した.
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