日本家政学会誌
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食料消費量の飽和水準について
堤 伸子
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1993 年 44 巻 7 号 p. 533-540

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抄録

量・質の両面から最近の食料消費の特徴をみるために, 1980年以降の各年について, 対数逆数型モデルを用いて, 食料およびその内訳項目の所得弾力性と飽和額を求めた.以下の結果が得られた.
(1) 所得弾力性は, 菓子類と調理食品でほぼ一定, 外食のみ上昇傾向にあった.酒類を除くその他の項目はすべて低下傾向を示した.60年代以降の食生活の近代化 (洋風化, 社会化, 多様化, 高級化, レジャー化, 簡便化, 社会化を含む) の進展により新しくなった食スタイルの定着を示す結果であった.また, 進展著しい外食消費において, 所得階層間格差を生み出していることも判明した.
(2) 飽和額が増加傾向にあったのは, 菓子類と調理食品と外食であり, 特に外食が著しい増加傾向を示した.減少傾向を示したのは, 魚介類, 野菜・海草, 果物であり, サービスが付加された食料の飽和額の上昇が目立った.食の外部化・社会化・簡便化という消費者の食生活に対する欲求の変化を示した結果である.

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