日本家政学会誌
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切干し大根の調理特性について
松本 睦子河村 フジ子
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1994 年 45 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

せん切りにした大根を天日乾燥 (生干し) と蒸し加熱後天日乾燥 (蒸干し) の2法で調製し, おのおのの成分, 吸水速度, テクスチャーについて検討した結果を要約すると次のようになる.
1) 切干し大根の香気成分として, ジメチルジサルファイド, n-ヘキサナール, 3-メチルチオプロパナール, ジメチルトリサルファイド, (Z)-4-メチルチオ-3-ブテニルニトリル, (E)-4-メチルチオ-3-ブテニルニトリル, 1-イソチオシアネートプロパン, 4-イソチオシアネート1-メチルチオブテン, (E)-4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネート, 2, 6-ビス-1, 1ジメチルエチル-4-メチルフェノール, 5-メチルチオペンチルイソチオシアネートを同定した.
2) 生大根を干し大根にすると (E)-4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネートが顕著に減少し, 新たにジメチルジサルファイド, n-ヘキサナール, 3-メチルチオプロパナール, ジメチルトリサルファイド, (Z)-4-メチルチオ-3-ブテニルニトリル, 1-イソチオシアネートプロパンが生成される.生干しより蒸干しの方が香気全収量が多い.
3) 生大根を干し大根にすると, 還元糖が増加した.その大半は浸し水中に溶出してくる.ホルモール態窒素は試料間の差は些少である.
4) 吸水量は生干し, 蒸干しのいずれも30分まで急速に吸水し, 以後緩慢となり, 蒸干しの方が吸水量が多い.
5) 加熱に伴う硬さは, 生干しより蒸干しの方が早く柔らかくなる.

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