抄録
強い酸味と収敏性をもつ生薬の山茱萸とオリゴ糖の一つであるフラクトオリゴ糖を用いジャムを試作した.酸味を中和するため重炭酸ナトリウムを添加し, pH調整を行った.さらに, 杓杞子との混合ジャムを調製し, 保存性や嗜好性について相互に比較検討した.
(1) 重炭酸ナトリウムを添加した山茱萸ジャムは, 無添加のものに比べ還元糖量の経日変化が極めて小さかった.
(2) ジャム中のフラクトオリゴ糖量は, 保存温度を上げるにつれて顕著に減少した.
(3) 重炭酸ナトリウムを添加したジャムおよび杓杞子との混合ジャムについては, オリゴ糖の加水分解が抑制されていることがわかった.
(4) ジャム中の還元糖量とフラクトオリゴ糖量は, 高い負の相関を示した.
(5) 嗜好性は, 山茱萸に対し絢杞子を2倍量添加した混合ジャムが最も好まれたが, 重炭酸ナトリウムを添加した山茱萸ジャムは好まれなかった.