日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
バングラデシュの半発酵魚製品 (チャパ・シュトキ) の栄養成分組成
カノム モサマット ナズマナラ高村 仁知的場 輝佳
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 50 巻 7 号 p. 703-712

詳細
抄録

バングラデシュの半発酵魚製品チャパ・シュトキの栄養特性について研究を行った.粗タンパク質, 粗脂肪, および粗灰分含量はそれぞれ33.2, 17.0, 12.2%であった.カルシウム, リン, マグネシウム, および鉄含量は相当する日本の魚加工品よりも高かった.暫定アミノ酸スコアパターン (FAO/WHO 1990) に基づくアミノ酸スコアは100であった.また, 有効性リジンは97.6%であった.加工中のアミノ酸残基の化学変化はほとんど起こらなかった.パルミチン酸, パルミトレイン酸, ステアリン酸, オレイン酸, リノール酸, およびリノレン酸が主要脂肪酸であった.炭素数20以上の高度不飽和脂肪酸は比較的少なかった.半発酵中の不飽和脂肪酸の有意な減少は見られなかった.脂質酸化について調べたところ, カルボニル価とチオバルビツール酸反応性物質値は27meq/kg油脂および38mg/kg油脂と低かった.このように, 脂質酸化のおそれは少なく, チャパ・シュトキは良質なタンパク性食品と考えられる.

著者関連情報
© 社団法人日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top