バングラデシュの半発酵魚製品チャパ・シュトキの栄養特性について研究を行った.粗タンパク質, 粗脂肪, および粗灰分含量はそれぞれ33.2, 17.0, 12.2%であった.カルシウム, リン, マグネシウム, および鉄含量は相当する日本の魚加工品よりも高かった.暫定アミノ酸スコアパターン (FAO/WHO 1990) に基づくアミノ酸スコアは100であった.また, 有効性リジンは97.6%であった.加工中のアミノ酸残基の化学変化はほとんど起こらなかった.パルミチン酸, パルミトレイン酸, ステアリン酸, オレイン酸, リノール酸, およびリノレン酸が主要脂肪酸であった.炭素数20以上の高度不飽和脂肪酸は比較的少なかった.半発酵中の不飽和脂肪酸の有意な減少は見られなかった.脂質酸化について調べたところ, カルボニル価とチオバルビツール酸反応性物質値は27meq/kg油脂および38mg/kg油脂と低かった.このように, 脂質酸化のおそれは少なく, チャパ・シュトキは良質なタンパク性食品と考えられる.