日本家政学会誌
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米飯の嗜好的および物理化学的特性に及ぼす酢酸添加の影響
香西 みどり谷畠 早苗大石 恭子島田 淳子畑江 敬子
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キーワード: 米飯, 酢酸, 硬さ, 粘り
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2001 年 52 巻 11 号 p. 1091-1097

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抄録

米飯の嗜好特性および成分に及ぼす酢酸の影響を明らかにするために酢酸添加米飯の官能検査, 物性測定および成分分析を行った.
(1) 炊飯液の酢酸濃度を0.1Mとして炊飯した酢酸添加米飯は酢酸無添加米飯よりつや, 透明感, 粘りがあり, 硬さが減少した.
(2) 酢酸濃度に依存してテクスチュロメーターによる硬さの減少および粘りの増加がみられた.
(3) 酢酸添加米飯では無添加よりグルコースが多かったが酢酸濃度には依存しなかった.遊離アミノ酸は酢酸によりわずかな増加がみられたが, 変化が少なかった.
(4) 飯洗液中の固形分量, 総窒素量およびペプチド原態アミノ酸量は酢酸濃度とともに増加し, 還元糖は酢酸による増加はみられたが濃度依存性はみられなかった.飯洗浄後の飯中の還元糖およびペプチド態アミノ酸の酢酸濃度依存性は洗液のそれらと類似していた.
(5) モデル炊飯において水温60℃付近から重量増加率が酢酸濃度に依存して増加した.炊飯過程で溶出してくる還元糖, タンパク質量は水温40℃付近から酢酸による増加がみられ, 特にタンパク質量は酢酸濃度に依存して大きく増加した.

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