日本家政学会誌
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梅酒貯蔵中の遊離アミノ酸・糖・酸・色の変化
梅酒熟成に関する研究 (第3報)
富永 暁子水上 和美蟻川 トモ子
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キーワード: 梅酒, 熟成, アミノ酸, , 有機酸, 褐変
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2001 年 52 巻 11 号 p. 1133-1138

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抄録

梅酒の長期貯蔵における1カ月から12年貯蔵の梅酒と梅果実の遊離アミノ酸, 糖, 酸, pH, 吸光度 (色) について調べ, 以下の結果を得た.
1) 梅酒中の遊離アミノ酸量は漬け込み後急速に増加し, 1年貯蔵で梅酒と梅果実の遊離アミノ酸量はほぼ平衡に達した.梅酒中の遊離アミノ酸組成は1年貯蔵でアスパラギンが63%, アスパラギン酸が5%であった.12年貯蔵でアスパラギンは45%に減少し, アスパラギン酸は23%に増加した.
2) 梅酒中のショ糖は漬け込みから1年以内に転化が完了した.
3) 梅酒の有機酸は1年貯蔵まで増加し, それ以降ゆるやかに減少し, 3年でほぼ一定になった.pHは貯蔵中2.8~3.0であった.
4) 梅酒の色は貯蔵が長くなるに従って濃くなり, 吸光度が加速度的に上昇したことで明らかである.
5) 官能検査の結果は貯蔵期間が長くなるに従って味が濃くなり, さわやかさがなくなる.3年貯蔵の梅酒が有意に好まれた.

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