総合健診
Online ISSN : 1884-4103
Print ISSN : 1347-0086
ISSN-L : 1347-0086
原著
内臓脂肪症候群の予防をめざした保健指導支援システムの構築
谷 昇子丸上 輝剛松田 淳子進藤 亜紀子竹本 敬子岡村 智教稲田 紘
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 37 巻 2 号 p. 273-280

詳細
抄録

 我が国の政府は,平成20 年4 月より医療保険者(国保・被用者保険)に対し,40 歳以上,75 歳未満の被保険者と被扶養者を対象に,内臓脂肪症候群に着目した特定健診・特定保健指導の事業実施を義務づけた。この特定保健指導を支援するため,内臓脂肪症候群の患者などが,日々の生活習慣情報を電子的に記録することにより,医師,保健師,管理栄養士が行う保健指導に活用することが可能なツールとして,これまでにPDA を用いて開発済みの在宅糖尿病患者管理支援システムを改良した保健指導支援システムを構築した。このシステムでは,簡便で正確な食事内容の入力を可能とするため,ボタン操作によるメニュー選択方式を用い,食品量の目安がブラウザでいつでも視覚的に確認できる食品模型(フードモデル)参照機能が考案・付加されている。また,総摂取熱量の自動算出機能を加味した。
 しかし,このシステムがそのまま内臓脂肪症候群の予防のための保健指導支援ツールとして適切かどうかの吟味が必要であり,このため本研究では,国立循環器病センター予防検診部職員を対象とするアンケート調査からシステムの評価を実施し,問題点の検討を試みた。その結果,フードモデル参照機能では,視覚情報として食品量を比較することにより,食事への意識を高めることが期待された。また,食事内容の入力では,メニューの選択方法および補正機能を工夫することにより,入力の簡便性および内容の正確性の向上がもたらされることがうかがわれた。本システムはまだ運用までに至ってはいないが,これまでの専門家に対する意見聴取から,調査結果で挙げられた問題点などの改良をはかることにより,保健師や管理栄養士などが行う保健指導の支援に有用なことが期待された。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本総合健診医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top