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総合健診
Vol. 38 (2011) No. 5 p. 567-573

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http://doi.org/10.7143/jhep.38.567

原著

 人間ドックや健診の場では、生活習慣病の把握やその防止、また進展予防につとめることが第一優先とされているが、近年の高齢化に伴い、認知症の把握をすることも必要と考えられる。今回我々は簡易認知症診断法である、浦上式もの忘れスクリーニング検査を用いて認知症のスクリーニングを実施し、認知機能低下の頻度、生活習慣病との関わりを検討した。
 大阪労災病院健康診断部に人間ドック目的にて受診した者のうち、60歳から79歳の計610名を対象とした。浦上式もの忘れスクリーニング検査を用いて、面談医師が聞き取り方式で実施し15点満点中12点以下を認知機能低下疑いと判断した。統計における有意差検定はStat View soft wearを用いてχ2検定にて比較検討した。統計学的解析はロジスティック回帰分析を用い、P<0.05を統計学的に有意差ありとし、オッズ比(Odds比)を算出した(年齢、性別、生活習慣病関連因子を説明変数、12点以下の認知症ありを目的変数とした)。
 年齢別の検討では70歳代では60歳代に比し有意に認知機能低下を認めた。性別での検討では、男性で有意に認知機能低下が認められた。次に高血圧、脂質異常、糖尿病の生活習慣病と認知機能低下との関連を検討した結果、糖尿病群で有意に認知機能低下が認められた。ロジスティック回帰分析の結果、70歳以上の高齢、男性、糖尿病が認知症発症のリスクを高めることが示唆された。もの忘れスクリーニング検査は短時間で実施可能であり、人間ドックなどの健診の場でも有効であると考えられた。

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