総合健診
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調査報告
ラテックス免疫比濁法による血清ヘリコバクター・ピロリ抗体価の比較検討
池田 裕子樽井 里佳上村 雄一郎松永 朋子吉永 眞人横田 真弓
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2017 年 44 巻 5 号 p. 633-636

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抄録

【はじめに】我が国での胃がんによる死亡者数は年間5万人前後で推移しており、これは過去35年間あまり変化していない2)。1983年Helicobacter pylori(以下HP)が発見されて以来、HPと胃がんの関連が明らかになり、HPを除菌することにより胃がんの発生を約 1/3 抑制可能であると報告されている4)。今回我々はHP感染の早期発見を目的として院内測定導入へ向け、新たに開発されたラテックス免疫比濁法試薬の比較検討を行った。
【対象および方法】2016年8月から9月の当院健診センター人間ドック受診者で内視鏡検査を実施した血清検体を対象とした。測定機種は汎用自動分析装置:LABOSPECT008(日立)を使用し、検討試薬は新たに開発されたラテックス免疫比濁法による血清中抗HP抗体検出試薬3試薬を用い比較検討を行った。判定不一致検体については従来のEプレート(ELISA法)で外部委託測定を実施した。
【結果および考察】対象となった148例の内視鏡所見は未感染95例、現感染6例、既感染(除菌後例を含む)47例であった。未感染における抗HP抗体の一致例はA:85例(91.6%)、B:91例(95.8%)、C:86例(90.5%)、現感染の一致例はA:6例(100%)、B:4例(66.7%)、C:6例(100%)であった。一方、既感染の陽性例はA:29例(61.7%)、B:7例(14.9%)、C:22例(46.8%)であった。内視鏡結果が[陽性]・[既感染]と判断された検体の抗体価陽性率において3試薬間に差異が見られたが、試薬A及び試薬Cにおいては内視鏡結果との高い一致率を示した。新たに開発されたラテックス免疫比濁法による抗HP抗体測定はHP感染の早期発見へ有用性が示唆された。

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© 2017 一般社団法人 日本総合健診医学会
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