2018 年 45 巻 5 号 p. 660-667
総合健診医学会の行った全国約260の健診施設における検査項目別の再検・精検率の調査により、脂質値の再検・精検率は5%未満の施設から65%以上の施設まで、幅広く分布していることが明らかとなった。このように、各施設により再検・精検率が大きく異なる理由として、各施設における再検・精検の基準が異なっていることが強く関与すると考えられ、再検・精検基準の統一化は必要である。
さて、脂質の再検率が異なる要因は、主として中性脂肪値とLDL-C値の再検閾値の相違によると考える。男性においてはその平均中性脂肪値は確実に上昇してきており、その再検基準値の設定により再検率は大きく異なってくる。また、LDL-C値のスクリーニングに一律の値を用いると、過剰なスクリーニングあるいは過少なスクリーニングを生じる危険性をはらんでおり、個々人の冠動脈疾患リスクに応じた再検値設定が必要である。
本講演では、中性脂肪再検値についての考察を加えるとともに、LDL-Cに関しては、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版が採用した吹田スコアを参考にした再検基準について言及した。今後の健診データを用いたシミュレーションにより、よりよい再検値設定に結びつくことを期待する。