総合健診
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健診時血圧高値例における白衣高血圧の頻度と心血管系疾患危険因子について
白石 千倉久代 登志男高橋 敦彦井上 仁上松瀬 勝男
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2003 年 30 巻 6 号 p. 587-591

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抄録

総合健診受信者における白衣高血圧の頻度と心血管系危険因子について検討した。年齢30歳から65歳で健診時血圧が140/90mmHg未満で内科疾患を有さない41例 (健常群41±9歳) と140/90mmHg以上の97例 (46±11歳) について, 24時間自由行動下血圧 (ABPM) , 代謝と凝固線溶系指標, 脳性利尿ペプチドを測定した。血圧高値例はMモード心エコーによる左室心筋重量係数 (LVMI) を測定した。健常群のABPM24時間測定値 (24時間値) の平均+1SD (128/80mmHg) を正常基準値とし, 健診時血圧高値例のうち24時間値が基準値未満の42例 (43%) を白衣高血圧群, 基準値以上の55例 (57%) を高血圧群とした。各群の年齢に有意差はなかった。健診時血圧は健常群 (111±14/70±8.4mmHg) に比し白衣高血圧群 (140±12/89±6.9mmHg) と高血圧群 (141±10/92±7.2mmHg) が有意に高く, 24時間値は健常群 (118±9.1mmHg) と白衣高血圧群 (120±4.6/72±3.8mmHg) に有意差はなく, 高血圧群 (135±8.9/82±6.0mmHg) は両群より高値であった。白衣高血圧群のLVMIは高血圧群より低値傾向であった。健常群に比し高血圧群のBody Mass Index, 総コレステロール, LDLコレステロール, 尿酸, 空腹時血糖, HbA1cは高く, 白衣高血圧群のHDLコレステロールは低く, 尿酸, HbA1cは高かった。凝固線溶系指標, BNPに差はなかった。
以上より健診時血圧高値例において, 白衣高血圧の頻度は高く, 可能性がある場合はABPMなどによる確認をするとともに, 白衣高血圧であっても心血管系疾患危険因子の評価を行い, 問題がある場合は生活習慣指導の必要性があると考えられた。

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