冬期入浴中の主観申告と生理学的指標との関係を探索し,快適感や発汗感が安全な入浴行為の指標となりうるかを検討した。快適感・発汗感と収縮期血圧,拡張期血圧,心拍数,皮膚血流量および鼓膜温変化量とのクロス集計を行った。その結果,快適側の生理量変化の範囲は,血圧:-20〜10mmHg,心拍数:30bpm未満,皮膚血流量:8ml/min/100g tissue,鼓膜温:1.0℃未満となった。発汗を自覚しはじめたあるいは少し汗が出ていると感じる程度までの生理量変化の範囲は,血圧:±10mmHg,心拍数:20bpm未満,皮膚血流量:4ml/min/100g tissue,鼓膜温:0.5℃未満となった。発汗感は,快適感より生理学的指標との相関が高かった。入浴による脱水防止のためには,発汗感が安全な入浴の目安となる指標であると考えられた。
