漁業作業従事者の就労環境改善を目的として、沿岸防風雪施設の整備計画が進められている。このような施設の整備効果を評価する際、また新たな施設を計画する際には、施設による就労環境の改善効果を定量的に示すことが重要である。本研究では、まだ整備の行われていない沿岸作業地点、及び既設の屋根付き防風雪施設内において、基本的な漁業沿岸作業を対象とした被験者実験を行い、両地点における温熱生理心理反応の比較から、防風雪施設の有効性を検討した。以下に主な結果を示す。1)今回対象としたすべての作業項目において、30分間作業後の皮膚表面温度の低下幅は防風雪施設内において小さいことが示された。2)温冷感、熱的快適感においても、両地点における申告値には有意な差がみられ、防風雪施設が温熱心理的な負担を軽減していることが示された。以上の結果から、屋根付き防風雪施設が冬季の就労環境改善に有効であると考えられた。