人間と生活環境
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日本における夏季の体感気候の経年変化と分布に関する研究 : 予測至適着衣量を用いた涼しい夏の表現
井幕 知伸堀越 哲美
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2013 年 20 巻 1 号 p. 13-27

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抄録

本研究は,人体の熱平衡式に基づく予測至適着衣量を用い,日本各地の「涼しい夏」の体感気候の経年変動の分布図を作成し,その特徴を検討したものである。各年代を通じ,北で着衣量が多く,小笠原と先島諸島で少なしい傾向が示され,京都では周囲より少ない値を示した。1960年代では,東北北部まで0.9cloで,関西から九州は,0.4clo台である。1970年代では,関東より北は1970年代と同様の傾向で,西日本が暑熱化傾向を呈した。1980年代は,北海道南部と東北の着衣量が低く,1990年代では,関東まで着衣量が多く,四国・関西では着衣量が少なく,西で多くなる傾向であった。2000年代は,最も寒冷傾向である。日最高予測至適着衣量の上昇・下降の主な影響要因は気温であるが,風速も影響要因としての寄与率が高い傾向にある。

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© 2013 人間-生活環境系学会
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