人間と生活環境
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夏季の室内における日常活動による代謝量変動が生理応答・温冷感応答に与える影響に関する高齢者と若年者の比較
島﨑 康弘犬飼 義秀竹谷 翔平
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2013 年 20 巻 2 号 p. 137-145

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抄録

 夏季の暑熱障害の多発が問題となっており,高齢者の発症例がその多くを占める.また,屋内における暑熱障害の発生件数も少なくない.高齢者は加齢により身体機能が低下し,また温熱感受性にも若年者と違いが生じていると考えられることから,被験者実験により日常起こりうる程度の活動量時の温熱生理,心理反応の特徴を明らかにする試みを行った.高齢者群および若年者群に対して,夏季の室内静穏環境にて20分間運動し,その前後10分間の座位時と併せて40分間の実験を実施した.運動は55m/minおよび30m/minでの歩行とした.本実験の運動強度において,同強度の歩行に対し,高齢者群は若年者群より高い代謝量を示した高齢者群で個体差が見受けられるが,総じて代謝量変動に伴う平均皮膚温および体内温の温度変化に高齢者群と若年者群で違いはみられなく,高齢者群の示した温熱快適域および温熱感受性は若年者群と同等であった.また,高齢者群は若年者群より熱負荷を大きく受ける傾向があった.

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© 2013 人間-生活環境系学会
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