人間と生活環境
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周辺空気の絶対湿度変化に対する皮膚含水率の経時変化の測定
開原 典子高田 暁
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 21 巻 2 号 p. 67-74

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抄録

本研究では、皮膚の乾燥による不快感のない室内環境設計に向けた基礎的検討として、調節発汗の生じない温熱条件の室内において、絶対湿度のステップ変化に前腕を曝露した実験を行い、2通りの方法で皮膚含水率の変動特性と分布性状を測定した。高湿度(約80%rh)・低湿度(約10%rh)・高湿度(約80%rh)というステップ変化に皮膚を曝露して、その間の皮膚含水率を肌水分計により連続的に測定した結果、高湿度・低湿度時の皮膚含水率に差があること、高湿度・低湿度への30分間程度の曝露の影響は5分〜10分で消えることを、複数の被験者に対する実験を通して明らかにした。次に、高湿度(約90%rh)・低湿度(約10%rh)を3周期繰り返すという一連のステップ変化に皮膚を曝露して、湿度変化の直後に皮膚の深さ方向の含水率分布を共焦点ラマン分光装置により測定した結果、湿度変化の影響が皮膚表面から伝播するという含水率の分布形が得られた。得られた分布形から、深さ方向に皮膚含水率が高くなること、皮膚表面から30μmよりも深い領域で皮膚含水率がほぼ一定となること、湿度変化の影響範囲が今回行った30分周期のステップ変化に対しては皮膚表面から10〜16μmよりも浅い領域であることを明らかにした。

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© 2014 人間-生活環境系学会
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