2014 年 21 巻 2 号 p. 75-84
本研究は、暑熱環境における温度変化による体温調節負荷を与える顕著な温度差のある温熱環境を移動させる実験を通して、更年期女性と青年女性を比較検討し、更年期女性の生理的心理的反応の特性を明らかとすることを目的とした。実験は屋外と空調された室内を出入りすることを想定し、屋外想定気温35.0℃の前室から18.0、22.0、26.0、30.0℃の実験室へ移動させ、生理的心理的反応を測定した。結果として、更年期女性は青年女性に比べ、末梢部皮膚温の低下が小さいことが観察された。全身温冷感についても、更年期女性の感覚の鈍さが観察された。末梢部の温冷感は、末梢部皮膚温の変化量の大小に対応しており、更年期女性は末梢部皮膚温が青年女性に比べて変化量が小さいことから、末梢部温冷感の鈍さに影響していると考えられる。