異なる色相のトレイに載せた病院食の写真について、女子学生30名と高齢女性33名を対象に、味覚や印象にどのような違いがみられるか調査した。トレイの色はpaleトーンに統一し、画像編集ソフトを用いて10色相に変化させた。高齢者群は、色相Green、Blue Green、Blue、Violetの中性色から寒色系の色相に対し、若年者群より酸味の印象を有意に抱き、おいしさ感も有意に高く評価した。苦味、甘み、塩味に関しては、若年者群の方が有意に印象を抱いた色相がみられた。これらは、加齢による水晶体の黄変化や日頃の食生活が影響しているのではないかと考えられた。10色相のイメージ評価については、若年者群と高齢者群ともに18項目すべてに、10色相間に有意差がみられた。さらに、イメージ評価において、高齢者群は若年者群よりも「どちらでもない」を中心に回答の幅が小さいことが認められ、加齢により味覚に対する敏感さが低下していることが推察された。因子分析の結果、食の安心と評価、食の楽しみ・温かさ、食の魅力の3因子が抽出され、paleトーンのRed、Orange、Yellow、Red Purpleの4つの色相は、食欲増進につながる可能性が示唆された。