人間と生活環境
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運動負荷姿勢と運動部位が温熱生理反応に及ぼす影響(第2報) : 皮膚血流量と局所発汗量の変動
鄭 明姫田村 照子
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2000 年 7 巻 2 号 p. 82-88

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抄録

姿勢・部位の異なる運動条件,仰臥位上肢運動,仰臥位下肢運動,椅座位上肢運動及び椅座位下肢運動の4種類における人体の生理反応に関して血流量と発汗量を中心に検討した。実験は,健康な成人女子10名を対象とし,温度30±1℃,相対湿度50±10%,気流0.2m/sec以下の環境条件の下,各運動条件下で求められた最大の酸素摂取量VO_2Pmaxの50%強度の自転車エルゴメータ運動を15分間負荷した。測定項目は,代謝量(MR),指先・趾先,大腿,胸部の皮膚血流量(BFR),カプセル法による前腕,大腿,背部の局所発汗量(Msw)及びエバポリメータ法により求めた人体10部位における運動終了直後の水分蒸散量(ER)である。各生理反応を運動姿勢・部位及び運動負荷との関連において検討した結果,(1) 指先・趾先と大腿のBFRには,運動部位による差がみられ,上肢運動時より下肢運動時が大なる傾向を示したが,胸部のBFRは,運動負荷よりも運動姿勢の影響を受け,仰臥位より椅座位の方が大であった。(2) Mswについては,仰臥位で上半身からのMswの抑制が認められた。 (3) ERも運動姿勢の影響を受け,上半身のERに仰臥位での抑制がみられた。ERとMswの結果から,運動時にも圧-発汗反射が発現することが示された。(4) 前報で平均皮膚温(Tsk)とMRの間の相関係数が低かったのは,上半身での発汗抑制による平均皮膚温の上昇が原因であることが示唆された。

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© 2000 人間-生活環境系学会
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