2001 年 8 巻 1-2 号 p. 3-8
人体に関わる振動の分野では通常,手腕振動と全身振動に分類している。手腕振動は手持動力工具等から人の手腕に伝えられる振動であり,全身振動は乗り物等から人の全身に伝えられる振動である。ここでは主に全身振動について心理的,機械的,生理的反応について述べる。心理的には振動知覚,知覚の為の振動受容器,受容器の周波数応答,振動知覚の閾値について,機械的には人体を機械的モデルとして扱い,バネ・質量・抵抗器の成分から構成されるとして,その振動応答特に振動伝達について,また生理的には振動の循環器系機能・筋活動・自律神経系のほか視覚・平衡感覚などへの影響を述べる。