居住環境における低湿度の限界値を明らかにするためには、人体表面の水分量と乾湿感との対応関係を明 らかにする必要がある。本論文では、低湿度環境下での被験者実験で得られた眼の乾湿感申告値を、涙の蓄積量で 説明することを目的として、筆者らがこれまでに提案した眼球での水分蒸発モデルを発展させ、涙の蓄積量の解 析モデルを作成した。まず、眼球表面温度の実験結果と数値計算結果の比較を行い、低湿度環境下で温度が低下す るという実験値の傾向を再現するには、涙液油層の安定性の変動などの生理的要素を考慮する必要があることが 示唆された。また、現状のモデルに基づく涙の蓄積量の計算値と眼の乾湿感の経時変化の対応は良好でなかった。