日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
退院調整看護師
−退院を規制する因子と退院調整業務を円滑にする新しい試み−
上田 奈々森本 保山本 初実
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2010 年 11 巻 3 号 p. 184-188

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抄録

 三重中央医療センターは2008年4月、地域連携総合相談支援センターに退院調整看護師を配置した。退院支援のフローチャートを作成し、各部門へのフィードバックのため月刊活動報告広報誌を発行している。退院調整の妨げになる要因を2008年4月から2009年3月の間で退院調整看護師が介入した患者104名を対象に、退院調整活動の評価として、支援開始日・介入期間・在院日数を評価指標とし、患者背景因子(疾患、年齢、退院先、医療ケアとしての人工呼吸管理、気管切開、膀胱カテーテル留置、胃瘻、経管栄養の有無)から調べた。

 支援開始日数は、膀胱カテーテル留置群で有意に長く、介入期間は、人工呼吸管理、気管切開、胃瘻、経管栄養が必要な群で有意に長かった。さらに、気管切開、膀胱カテーテル留置、胃瘻、経管栄養の必要な群では在院日数も有意に長かった。重回帰分析では、支援開始日は膀胱カテーテル留置、介入期間は人工呼吸管理・胃瘻、在院日数は膀胱カテーテル留置がそれぞれ退院調整の妨げになる要因として検出された。この結果をもとに、急性期治療中から支援を開始できるよう退院調整スクリーニングシートを考案した。

 急性期離脱後も継続した医療ケアが必要な症例の在院日数を短縮させるためには、退院後の医療ケアを依頼する近隣医療機関との連携を強化することが重要である。今後、当医療圏において継続した医療が実践できるよう、組織的で効率的な退院調整活動に取り組んでいきたい。

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