2013 年 14 巻 1 号 p. 2-8
地域連携クリティカルパスを使用したがん診療が患者中心であるかを評価する目的で、乳がん患者を対象にして満足度に及ぼす影響を検証した。
手術を受けた原発性乳がんの女性患者385名を対象とし、受診、診療の質、医師及び乳がん診療全体に対する満足度について、自己記入式質問紙調査を行った。患者を、クリティカルパスを使用した連携診療を受けたか否かによって、地域連携群と拠点病院群の2群に分類し、比較した。また、各項目が乳がん診療全体への満足度に及ぼす影響について検証した。
質問紙は地域連携群86名、拠点病院群151名から回収した。地域連携群は、拠点病院群に比べ、乳がん以外の診療を受けていた患者が多く、受診及び医師についての満足度が高かったが、検査が予定に沿って実施されているとの認識度が低かった。乳がん診療総合的満足度は2群間に有意差を認めなかった。また、乳がん診療総合的満足度と医師についての満足度は高い相関性があった。さらに、再発の発見がすみやかになされるとの認識度が乳がん診療総合的満足度に最も強く影響を及ぼしていた。
地域連携クリティカルパスを使用したがん診療は、医師及び受診に対する満足度を高め、乳がん診療に対する患者満足度の向上に寄与していると考えられた。