2014 年 14 巻 4 号 p. 209-212
薬剤師が患者の病態を考慮した薬学的な患者ケアを実践し、薬物療法による副作用、相互作用、治療効果不十分などを回避あるいは軽減した事例を、プレアボイドと称して一般社団法人日本病院薬剤師会(日病薬)に報告する制度がある。上尾中央総合病院は全病棟に薬剤師が2008年から常駐し、プレアボイド報告体制を整備した。今回、当院における2004〜2011年度のプレアボイド報告数の推移、プレアボイド発生時の業務別報告数、当院のプレアボイド報告数と全国の報告数との比較を行った。プレアボイド報告数の推移は、2008年度までの年間平均19.5件に比べ、2009年度以降の平均は469.3件の報告だった。プレアボイド発生時の業務では、薬剤管理指導業務及び病棟業務からの報告が最も多かった。全医療機関の報告18,208件の内、当院の報告数は566件(3.11%)であった。プレアボイド報告数の顕著な増加は薬剤師の病棟常駐を開始したことにより、服薬状況を詳しく観察し検討することが可能になったこと、看護師等から得た情報を契機にプレアボイドとなる事例が増えたことが要因と推察される。また、調剤業務を担う薬剤師が病棟常駐薬剤師を通すことで処方提案を行いやすくなったことも理由と思われる。病棟常駐薬剤師の医薬品安全管理における役割は大きいことが明らかとなった。