日本保健科学学会誌
Online ISSN : 2433-3018
Print ISSN : 1880-0211
ISSN-L : 1880-0211
血友病患者におけるADL能力の分析
後藤 美和竹谷 英之川間 健之介新田 収
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 12 巻 2 号 p. 91-97

詳細
抄録
血友病患者における日常生活活動(ADL)能力の特徴を把握することを目的として,無記名の自記式質問紙調査を行った。主な調査項目は,基本属性,ADL遂行の可否とした。ADLは21項目の動作に対して困難度を聴取し,数量化III類を用いて順位付けを行った。有効回答は259名(37.5%),平均年齢40.9歳で,疼痛と出血の多い関節は,肘・膝・足関節であった。ADLは,正座と走行,和式トイレが最も困難な動作であった。数量化III類の結果,I軸の全分散に対する比率が42%のため,対象者のADLはI軸でほぼ説明可能といえ,ADL能力と解釈した。カテゴリースコアの散布図から,クラスタ1:下肢の深屈曲と荷重が必要な動作,クラスタ2:上下肢の複合動作に分類された。動作の困難度に基づく2群間でカテゴリースコアの範囲を算出した結果,ADL得点に最も影響の大きい動作は正座と洋式トイレで,影響の少ない動作は第1ボタンの着脱と足の爪きりであった。
著者関連情報
2009 日本保健科学学会
前の記事 次の記事
feedback
Top