軟弱粘性土地盤をシールド工法で掘削した場合、シールド機通過後トンネル周囲の粘土が乱れによる数センチメートルの圧密沈下をおこす。 しかしながらその圧密沈下に対して有効な防止法は確立されてないのが現状である。欧州諸国では地下工事に伴う地盤沈下防止工として薬液注入が、実際の工事に用いられ成果をあげて注目されている。地下工事に伴う地盤沈下の防止は今後の地下工事において重要な問題となり、更なる沈下防止が求められていくと考えられる。そこで本研究では、欧州の粘土は過圧密状態で、わが国の粘土は正規圧密状態であるという応力履歴に注目し、模型粘性土地盤に薬液を注入する室内実験を行い、薬液注入に伴う地盤挙動と過圧密比との関係について基礎的な考察を行った。