抄録
河川堤防の延長約30kmの区間において、迅速かつ経済的に地盤の状況を把握することのできる「表面波探査システム」を適用した事例について紹介する。 本手法は、地表面を伝播する表面波を測定・解析することにより、地盤のS波速度分布を求めるもので、標準貫入試験やサウンディングのデータとの相関関係を導くことにより、推定N値断面として表現することが可能である。 今回行った調査では、解析の結果求められたS波速度分布と標準貫入試験の結果得られたN値の相関性が良好であることがわかった。また、探査結果による推定N値断面と堤防の開削工事箇所やすべり箇所等の実態と良く一致しており、広範囲の堤防の状態を概ね把握することができた。このことから、表面波探査の河川堤防調査に対する適用性が高いことが判明した。