抄録
本編では,前編で紹介したベクトル変位計を用いた測定方法において,水平方向に複数のワイヤの一部を重ね合わせて測定区間を延長する方法(オーバーラップ法)を適用する場合の,変位の累積誤差について検討した。検討では,計器・測定システム固有の誤差は仮に設定した値を用い,測定方法の原理・変位の算出方法に起因して累積される理論誤差および試算結果について,連続して設けた測点での2本の測線の成す角度(偏角)を順次測定して変位を求める方法(偏角法)と比較した。測定区間が100m以上の場合,偏角法では累積誤差が数10mmとなるのに対し,オーバーラップ法では2mm程度で,測定方法として優位な結果が得られた。