地域の動植物からなる生態系は地盤である地形,地質,土壌,水理条件により規制されたり関連することが多い。我が国では地域により地盤特性の変化が大きく,地域ごとに多様な生態系を形成しているといえる。一般に動植物の基礎調査ではある限られた範囲でのコドラート調査を行うことが多いが,これらの調査方法では多様な生態系を有する地域全体の生態系の特徴をつかむことが難しい。また,動物調査ではある断面に沿ってその生態を調査するラインセンサスやベルトトランセクト等の方法がある。この方法では地表の上の生き物に注目した調査であり,それらの生態系の下支えとなっている地盤との関係がわからない。ここで我々は,地質地形調査で一般に行われているルートマップによる現地踏査法とこれらの動植物の生態調査を平行して行うことにより有機的につながっている地盤情報と生物の情報を評価する地生態断面調査法という新しい調査法を提案し,その事例を紹介する。