抄録
1999 年度から 2007 年度の間に、当センターを受診したダウン症候群難聴疑い症例のうち、現在は就学している 22 名の聴力と補聴器装用について検討した。外耳道狭窄や滲出性中耳炎の合併が多く、精神運動発達遅滞もあり、経過観察により、聴力の改善する例が 64%みられた。補聴器装用指導を行った 5 名で、常時装用に至ったのは 1 名のみであった。近年、新生児聴覚スクリーニングが普及し、0 歳代での難聴の診断と療育の開始が一般化している。しかし、ダウン症候群においては、診断とその後の方針に配慮が必要であった。