2020 年 66 巻 5 号 p. 172-176
生活習慣の改善とともに自然寛解に至った成人型再発性喉頭乳頭腫例を経験したので報告する。症例は 47 歳、男性。2 年来の嗄声を主訴として来院。喉頭乳頭腫と診断し、喉頭微細手術下に声帯膜様部の乳頭状腫瘤を切除した。同時にヨクイニンの内服を開始した。以後両側声帯に再発を繰り返し、そのたびに手術により切除した。6 回目の手術を行ったあと、いったん再発した腫瘍が縮小に転じた後に消失し、以後その状態を維持している。本人によると、直近の手術直後から健康管理を目的として食生活の改善と運動を開始しており、以後体重が適正となり、便通も改善して、体調が非常によくなったとのことであった。喉頭乳頭腫を含むヒト乳頭腫ウイルス(HPV)感染症に自然寛解例があることは知られているが、一般的に細胞性免疫能が向上すれば HPV による病変は制御されると考えられる。本症例では免疫状態の評価はされておらず、腫瘍の消失と生活習慣の改善との因果関係も不明ではあるが、再発を繰り返す成人型の難治例においても症例によっては自然寛解に至ることが分かった。