2022 年 68 巻 1 号 p. 32-37
軟骨伝導補聴器は外耳道閉鎖症例に有用だが、小耳症の合併例が多いため振動子や本体の固定が難しい。振動子固定は主に両面テープを用いるが、汗や運動による脱落が難点である。その上、振動子固定が安定しないとハウリングを誘発しやすく、装用に工夫が必要になる。今回小耳症合併外耳道閉鎖患者に対し義耳を用いてフィッティングを行ったところ、有効な補聴効果が得られた。加えて、両面テープ固定の場合と比較して汗や体動による脱落頻度が低下すること、直視的に補聴器の取り外しが可能であるため補聴器の機械的損傷の危険性も低減でき、有用であった。義耳の利用は耳介形成術がすぐにできない幼小児においても、安定装用が可能な補助装具として推奨できると考えられた。