耳鼻と臨床
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メニエール病の経過中に見られる良性発作性頭位眼振状態
安田 宏一
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1990 年 36 巻 4 号 p. 669-686

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抄録
患者がある頭位をとつた時にだけ, 一過性にめまいが起こり, その時回旋眼振を観察できるものを, Dixらはpositional nystagmus of the benign paroxysmal typeと呼び, メニエール病とは別の疾患であると言つた. しかし私は, メニエール病の経過中にこのような発作をおこした例を, 1988年1年間に6例経験した. メニエール病の発作の時に見られる水平眼振と, これらの回旋眼振は方向を逆にする者が多かつた. またこれらの症例は, 聴力像, 温度検査の左右差が少なかつた. 歩行検査では特徴ある偏筒を認めた. これらのことから, この病態は独立した疾患ではなく, 内耳の耳石器に限局した興奮状熊夕示すものだと考えた.
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