耳鼻と臨床
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全身倦怠感を伴ったアレルギー性鼻炎に対する補中益気湯の臨床効果
荻野 敏原田 保
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1996 年 42 巻 3 号 p. 282-287

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抄録

アレルギー性鼻炎はストレス, 疲労などにより悪化する. 今回, 全身倦怠感, 不眠などを伴った5例のアレルギー性鼻炎に補中益気湯を投与した. 症例1は22歳, 女性, 数年間のHD減感作治療を受け鼻症状は落ち着いていたが, 中耳炎の手術後から再び鼻症状の悪化を見た. 同時に食欲不振, 全身倦怠感, 不眠, 耳鳴も出現してきた. 症例2は43歳女性. 子宮筋腫により子宮全摘を受けている. 全身倦怠感, 不眠を伴つていた. 症例3も43歳, 女性. 中等度の貧血を伴つていた. 症例4は26歳, 男性. 不眠, 倦怠感, 仕事でのストレスを伴つていた. 症例5, 18歳, 男性. 受験による不眠, 倦怠感を訴えていた. 全症例に補中益気湯の投与を行ったところ数日から1ヵ月以内に鼻症状の改善を見た. 特に症例1, 2では本薬剤の投与のみであつた. この成績から, 補中益気湯は全身倦怠感, 不眠などの全身状態の良くないアレルギー性鼻炎に対しては有効な薬剤であると思われた.

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