1997 年 43 巻 3 号 p. 297-300
臨床的研究では, 側頭骨内顔面神経麻痺においては眼輪筋の方が口輪筋より受傷性が高く, その回復も口輪筋のそれより遅延する傾向があることが示唆された. 今度, モルモットを用いて急性-過性顔面神経麻痺モデルを作り, 眼輪筋と口輪筋の誘発筋電図を比較検討した. 眼輪筋の圧迫直後と圧迫前の反応域値の差が口輪筋のそれより大きく, 眼輪筋支配神経の方が口輪筋支配神経より有意に回復時間がおくれることが示された. 眼輪筋支配神経は口輪筋のそれより受傷性が高く, また口輪筋支配神経線維は圧迫に対して抵抗性が強いと結論する.