抄録
臨床上混乱が見られる顎下型ガマ腫の成因と治療法について、1981年から2003年の間に手術的に加療した自験例 (9例10側) を振り返り検討した。術前のMRI画像からは3パターンの貯留進展形式が確認されたが、共通したのは舌下部の貯留であった。手術所見からも嚢胞と舌下腺の癒着はほぼ全例で確認されており、顎下型ガマ腫の発生由来は舌下腺であることが示唆された。造袋術後再発し、頸部外切開で嚢胞と顎下腺のみ切除した1例のみ再発を繰り返しており、このことも舌下腺成因説を裏付けると考えられた。術後病理所見では上皮成分を持たない仮性嚢胞であることが確認され、嚢胞の全摘は必要ないと判断された。以上のことから総合して、口内法を用いた舌下腺全摘術がより低侵襲で、成因に基づく有効な治療法であると結論された。