2011 年 114 巻 9 号 p. 761-767
先天性外耳道閉鎖症例に対するBAHAの有用性について検討を加えた. 2006年12月から2009年3月に9施設を受診し, 書面によるインフォームドコンセントの上で同意が得られた20例を対象に検討した. うち2例はインプラントが脱落し, 最終的には先天性外耳道閉鎖症成人例18例 (両側15例, 片側3例) を対象に音場閾値検査, 語音了解閾値検査の術前および術後12週での前後比較試験を行った. 副次的評価項目として簡略版補聴器有効性評価を使用したアンケート調査を実施した. 自由音場閾値検査, 語音了解閾値検査ともに, 術後有意に改善した. 簡略版補聴器有効性評価を用いたアンケートでも「音の響く感じ」をのぞいて, ほぼすべての項目で裸耳よりも有意に改善していた. BAHAは, 先天性外耳道閉鎖症患者のQOLを改善する目的で, 有用な選択肢の一つであると考えられた.