日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
総説
小児科からみたA群β溶血性レンサ球菌による咽頭扁桃炎
菊田 英明
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 115 巻 1 号 p. 1-7

詳細
抄録

ペニシリンのなかった時代には, A群β溶血性レンサ球菌による咽頭扁桃炎は重症な細菌感染症で, 発疹を伴う猩紅熱は法定伝染病であり, 小児科医, 内科医が主に治療を行っていたと推測される. 抗菌薬が普及し, リウマチ熱の発症はほとんどみられなくなり, 猩紅熱が重症な溶連菌感染症でないと理解されてからは, 発疹があっても猩紅熱と言わず溶連菌感染症として診断, 治療を行っていた. その後, 1998年の法改正に伴い猩紅熱は法定伝染病でなくなり, 現在に至っている. そのため, 最近は猩紅熱という名前より溶連菌感染症という名前が一般の人に周知されるようになった. A群β溶血性レンサ球菌感染症による咽頭扁桃炎は, 抗菌薬によく反応し重症化することもなく, 全身管理の必要がなくなったため, 小児科医, 耳鼻科医, 内科医で診断, 治療を行っていると思われる. 今回, 小児科医がどのようにA群β溶血性レンサ球菌感染症による咽頭扁桃炎の診断, 治療を行っているかを知っていただき, 日頃の臨床の場に役立てていただければと思う.

著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
次の記事
feedback
Top