抄録
近年, 海洋スポーツの普及によるスキューバダイビング人口の増加につれ, それに伴うトラブルが増加傾向にある. 症例は耳症状を訴えたダイバー患者97例 (男性34名・女性63名; 36.6±10.3歳) である. これまでに耳管機能障害に伴う耳鼻咽喉科疾患の既往のない正常ボランティア39例 (男性9名・女性30名; 41.1±16.9歳) をコントロール群とした. 受診時, 鼓膜, 鼻腔などを確認後, 聴覚検査, ティンパノメトリ, および耳管機能検査を施行した. 耳管機能検査には音響法とインピーダンス法を用いた. ティンパノグラムはほぼ全例で患側耳A型を示した. 耳管機能検査で85.6%のダイバー患者で耳管狭窄症を診断した. コントロール群と比較して有意にダイバー群の耳管機能は低かった. 耳症状は片耳のみの場合と両耳に自覚される場合とがあり, それらを片耳群と両耳群と定義した. 両耳群と比べ片耳群で鼓膜穿孔や内耳障害など重症例が多かった. 耳管狭窄症は自覚された側とは対側に生じていることもあり, このような症例では耳抜きの際の過剰加圧が耳管機能良好耳へ影響したと考えた. 的確な耳管機能評価と治療を行い, 安全なダイビングを指導することでダイバー患者の中耳・内耳トラブルを予防できると考えた.