小児では突発難聴を来す疾患が成人とは異なり, また突発性難聴に比べて頻度が高い. 小児突発難聴20例の臨床像を検討した. 小児の突発難聴では心因性難聴がかなり多いので, 他覚的聴力検査を組み合わせて診断を行うべきである. 純音聴力検査とDPOAEの結果に乖離がみられる場合は心因性難聴が強く疑われるが, 確定診断のためにはABR検査が必要である. ムンプスでは不顕性感染が30~40%にみられるため, 耳下腺腫脹のないムンプス難聴例がある. 小児の急性感音難聴ではムンプスの罹患歴・予防接種歴を問診するべきである. 前庭水管拡大症も突発難聴において考えておくべき疾患であり, 低音域のA-B gapを伴う高音障害型のオージオグラムでは本症を疑う.