日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
浸潤型鼻副鼻腔真菌症 最新の知見
太田 伸男鈴木 祐輔
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2013 年 116 巻 5 号 p. 581-585

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抄録

副鼻腔真菌症は, 浸潤型と非新型の2つに分けられ比較的まれな疾患とされてきたが, 副腎皮質ホルモン, 抗生物質の頻用による全身抵抗力の低下, 悪性腫瘍や糖尿病などの代謝性疾患などの基礎疾患を持つ患者の日和見感染によるものなど, 免疫力の低下などの原因により近年増加傾向である. 浸潤型は, 骨破壊を伴う進展様式で頭蓋内および眼窩内合併症を起こしやすく極めて予後不良である. 今回, 浸潤型鼻副鼻腔真菌症のEBMに基づいた治療指針, 特に診断のポイント, 抗真菌剤の種類や投与方法, 手術治療法の選択と施行時期, 予後因子などについて概説した. より早期に診断し, 周辺臓器への浸潤が比較的経度の段階で治療を開始できれば救命できる場合もあり, 糖尿病などの基礎疾患を有する症例では, 本疾患を常に念頭に置き可及的速やかに対応することが重要であると考えられた.

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© 2013 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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