日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
無床診療所におけるオフィスサージャリーの実態について
―2,184件の外来手術の統計的検討から―
森 泰雄
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2013 年 116 巻 6 号 p. 703-708

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抄録

耳鼻咽喉科無床診療所におけるオフィスサージャリーの実態を調査するため, 当院の2008年から2011年の4年間に施行した18術式の外来手術2, 184件 (1,383症例) を調査対象とした. 年間手術件数は463件から600件 (308症例~397症例) で年間平均は546件 (346症例) であった. 鼓膜切開術が1,379件 (780症例), 鼻腔粘膜焼灼術が388件 (276症例), 鼓膜チューブ挿入術が172件 (92症例), 外耳道異物除去術 (単純) が99件 (94症例) と4術式で9割以上を占めたが, その他の14術式は耳・鼻・咽から唾液腺・皮膚や顎関節にまで及んでおり, 耳鼻咽喉科医の守備範囲の広さを示していた.
1,383症例中0から11歳代の乳幼小児が827症例と約6割であり, 特に0から5歳代の乳幼児が563症例と4割以上を占めていて, 小児耳鼻咽喉科外科の存在意義を示していた. 反面, 70歳以上の高齢者は, 1,383症例中123症例 (8.9%) であったが, 90歳以上が3症例あり最高齢が99歳代であった. 男女比は867: 516で, 性比は1.68であった.
国民皆保険制度のもとに保険診療が行われている現在の日本においては, オフィスサージャリーに積極的に取り組んでいる開業医療施設は必然的に高点数保険医療機関となるが, その対象症例は入院することなく治療を完結することも可能であり, 専門性を維持し地域医療の質を向上させるだけでなく, 医療費の削減にも貢献していることを附記した.

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© 2013 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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