日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
耳下腺腫瘍の臨床
河田 了
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116 巻 (2013) 8 号 p. 941-946

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抄録

耳下腺腫瘍の発生率は頭頸部腫瘍の中では約4%を占める. 耳下腺腫瘍には良性, 悪性腫瘍があるが, 圧倒的に良性腫瘍が多い. 2005年のWHO分類によれば病理組織学的に良性は10種類, 悪性は23種類に分類されており, 非常に多彩であるのが特徴である. 良性腫瘍の90%は多形腺腫あるいはワルチン腫瘍であり, 穿刺吸引細胞診 (FNA) を中心とした検査によって多くの症例で術前診断が可能である. 多形腺腫は悪性化の可能性もあり一般的に手術適応になる. 手術に際して顔面神経の温存が重要である. 当科のデータでは, 一時麻痺率は浅葉腫瘍手術で16%, 深葉腫瘍手術で48%, 下極腫瘍手術で13%であった. 悪性腫瘍はその悪性度がさまざまであり, 術前の悪性度診断がポンイトになる. 耳下腺癌全体でみるとFNAで組織型も悪性度も診断できたのは18%にすぎなかった. 術中迅速診断による診断でも, 組織型も悪性度も診断できたのは47%であった. 特に低から中悪性腫瘍ではその術前悪性度診断が時に困難であるのが現状である. 悪性腫瘍の予後因子は進行度および組織学的悪性度であるから, 切除範囲を決定する上で, 組織型にこだわるより悪性度を重視する方が良いと考えた. 悪性腫瘍の治療は手術治療が第一選択であり, 放射線治療は補助的に用いられる.

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© 2013 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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