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日本耳鼻咽喉科学会会報
Vol. 117 (2014) No. 6 p. 761-768

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http://doi.org/10.3950/jibiinkoka.117.761

総説

呼吸器内視鏡領域の進歩は, 肺癌の早期発見および適切な治療方針の決定を可能とした.
重喫煙者に多く認められる中枢型扁平上皮癌においては多段階発癌が提唱され, 上皮異型性から上皮内癌に進展する過程での早期診断が課題とされていた. 蛍光気管支鏡および狭帯域観察の登場により, CT ではとらえることのできない微細な気道粘膜の変化を容易にとらえることが可能となった. さらに気管支超音波技術の進歩は, 気管・気管支の壁構造を可視化し, 腫瘍の深達度を正確に評価することができるようになった. これらの呼吸器内視鏡技術による正確な診断により光線力学的治療の適応は正確に評価され, その奏効率は非常に高い. また最近では光干渉断層法 (Optical Coherence Tomography; OCT) が開発され, より高解像度での腫瘍浸潤評価が可能となっている. さらに気道粘膜表層を詳細に観察できる拡大気管支鏡の開発は進化を遂げ, 超高倍率での生体内顕微観察技術が相次いで開発された. これらはまだ研究段階であるが, 生検組織を採取することなく病理診断を可能とする optical biopsy の実現に一歩近づいたと考えている.
気管支鏡技術のもう一つの大きな進歩は, コンベックス走査式超音波気管支鏡 (CP-EBUS) およびこれを用いた経気管支針生検技術 (EBUS-TBNA) の開発である. 気管・気管支周囲病変, 特に肺癌症例における縦隔・肺門リンパ節転移診断は, 肺癌診療を行う上で極めて重要なものである. 低侵襲かつ高精度なリンパ節の質的診断を可能とする EBUS-TBNA は, 米国の最新ガイドラインにおいて肺癌症例でのリンパ節ステージングにおける質的診断法の第1選択となるに至った. さらに EBUS-TBNA によって得られる生検検体は, 分子標的薬の適応判断に不可欠なバイオマーカー診断を可能とし, 肺癌診療において鍵となる検査になっている.

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