日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
難治性突発性難聴に対する鼓室内ステロイド療法の有効性に関する検討
河野 敏朗松浦 省己石戸谷 淳一折舘 伸彦
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2014 年 117 巻 6 号 p. 802-808

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抄録

【目的】 全身ステロイド療法で, 聴力改善が得られなかった難治性突発性難聴に対し, 鼓室内ステロイド療法の効果を検討した.
【対象と方法】 対象は全身ステロイド療法で, 聴力改善のなかった難治性突発性難聴症例とした. 2003年6月から2010年7月までは全身ステロイド療法と高気圧酸素療法の2者併用療法を31症例 (A群) に行った. 2010年8月から2012年3月までは, 全身ステロイド療法と高気圧酸素療法に鼓室内ステロイド療法を追加した3者併用療法を29症例 (B群) に行い, 2群に分けて治療効果を比較した. さらに, 治療前後での聴力レベルを比較した. また, 治療効果に影響を及ぼす因子を多重ロジスティック回帰分析にて検討をした.
【結果】 A群 (31例) では, 著明回復1例 (3.2%), 回復6例 (19.4%), 不変24例 (77.4%) であった. B群 (29例) では治癒5例 (17.2%), 著明回復3例 (10.3%), 回復14例 (48.3%), 不変7例 (24.1%) であり, B群の治療効果が良好であった (p<0.05). 聴力レベルが治療前後でA群では7.0±12.0dB の改善で,B群では21.8±18.7dB の改善であり, B群が良好であった (p<0.05). また, 3者併用療法が治療効果に良好な影響を与えていた (p<0.05).
【結論】 鼓室内ステロイド療法は, 難治性突発性難聴の追加併用療法として, 有効であると考えられた.

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