日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
Vocal cord dysfunction に対する口すぼめ吸気法
丸山 裕美子塚田 弥生平井 信行中西 庸介吉崎 智一
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2015 年 118 巻 1 号 p. 53-61

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抄録

 Vocal cord dysfunction (VCD) における声帯奇異運動は一般的に一過性かつ発作性である. われわれは36例の VCD 加療経験の後, 持続的に声帯奇異運動を認める症例を経験し, 声帯奇異運動が「口すぼめ吸気法」施行中に改善し呼吸法中止により再発することを確認した. VCD は気道刺激に対する声門閉鎖反射亢進と, 吸気時の声門下陰圧に対する能動的声帯内転運動により生ずると考えられている. 今回われわれが初めて提唱した「口すぼめ吸気法」は, 緩徐な吸気の実現を容易にし, 声門上腔の陰圧化により声門上下腔の気圧差を減少でき, 器具を用いず即実行できる簡便な方法であり, VCD に対し試行する価値があると考える.

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© 2015 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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