一色らが確立し体系付けた喉頭枠組み手術である甲状軟骨形成術Ⅰ型, Ⅱ型, Ⅲ型, Ⅳ型と披裂軟骨内転術1)2) の術式, 歴史, 手術適応, 手術評価の検査と手術効果について解説を行った. また, 喉頭枠組み手術の中でも, 特にⅠ型の治療成績向上につながる当科の取り組みを将来展望として解説した. Ⅰ型は一側声帯麻痺などの声門閉鎖不全による嗄声の改善を目的とし, 種々のインプラント材料が喉頭内に充填するフランジとして用いられている. 高度の声門閉鎖不全例には披裂軟骨内転術が併用される場合が多いが, Ⅰ型単独でも治療は可能との報告もある. 高度の声門閉鎖不全例に対するⅠ型単独治療への将来展望として, 喉頭内に充填するフランジの形状をいかにデザインするかが最も重要であることを呈示した. 患者個人の個体差が大きい喉頭形状に合致したフランジ作製を目的に, 患者の頸部 CT 画像の DICOM (Digital Imaging and Communication in Medicine) データから喉頭の三次元モデルを構築し, 理想的な声帯内方移動を実現できるフランジ形状デザインを行い, 患者個人のオーダーメイドフランジ形状を 3D プリンターで出力するシステムの構築を考えた. しかし, 経費の問題により 3D プリンターでフランジを充填する声帯レベルの喉頭モデルの出力を行い, 術中のフランジ作製に利用している. 本稿では 3D プリンターを用いた喉頭出力モデルの手術利用症例を示し, Ⅰ型の将来展望として紹介した.